研究室の基本方針
(2023.12.14 改訂)
【3年生、4年生向け】宇宙に関する理論的な研究を行いたい学生を歓迎します。しかし、4年生でできることは時間的にも基礎知識的にも限られます。そこで、鹿児島大学大学院、あるいは他大学院への進学、就職に関わらず、
4年生の夏までに進路を決める
を厳守してください。本研究室では4年生には十分な勉強の時間を与えます(ゼミへの参加や、計算機の管理はある程度自分でする必要がありますが、それ以外の日常的な仕事、観測当番といった仕事はありません)。進学の場合、理論宇宙物理の研究は広範囲にわたるため、他大学の大学院の研究室を含め、適切な進路に進むことを目指してください。どこの研究室がよいか、など相談には随時応じます。夏以降、卒業研究に専念してもらいます(希望と余裕があればもっと早くスタートしてもよい)。物理宇宙プログラムでは、卒業研究は2月中旬のポスター発表で終わりますが、本研究室では「卒論」(日本語でよい)を卒業式までに書く、というのをルールにしています。
なお、本研究室では個人の資質や希望分野を無視して、むやみに鹿児島大学の大学院進学を勧めることはありません。就職できないからという理由で大学院進学することは推奨しません。研究(勉強とは違います)がやりたい、という強い意思と能力のある人だけに勧めます。
他大学の大学院を受ける場合は必ず相談してください(学部の成績や希望の研究テーマを聞いた上でアドバイスします)。その場合、原則として、鹿児島大学大学院も受験してください。近年、大学院受験に失敗するケースが少なからずあります。鹿大の大学院に合格しないようだと他大学も厳しいです。
これまでの経験上、大学院まで進学して、論文になるような研究成果を挙げられる人には傾向があります。
・3年生のときに研究室に出入りして、なんらかの研究活動をスタートしている(ごく初歩的なものでも)
・3年までの成績で"A" "B"がわりと多い
今後、鹿児島大学の大学院入試では学部の成績がかなり重視されるようになります。普段の授業・期末試験を頑張りましょう。
【4年生、M1】
研究室には毎日、朝から来てください。(朝の定義は人によっていろいろですが、午前中)
毎週の進捗会で研究の進捗状況を報告してもらいます。進捗会の参加は卒業・修了のための「必要条件」です。
進捗会での報告をすることは1)研究内容の整理 2)プレゼンの練習 3)研究の方向性の再確認(他の人からのアドバイス) 4) 他のメンバーの研究の把握、5)さまざまな知識の吸収、など極めて重要です。毎回必ず出席してください(曜日と時間はメンバーで相談して決めます)。私の出張などで必ずしも毎週開催されません。1回休むと何週間もフィードバックを得られる機会を失います。
修士課程の学生の場合、遅くともM2の6月までに進路を決めてください。
M2の前期は就職活動に時間を取られますので、M1の間に十分研究を進めておくことが重要です。
秋の天文学会で発表するというのが一つの目標です。
修士論文も日本語でかまいませんが、できれば国際的な専門誌に論文を載せる、というのも目標にしましょう。実際、卒業生で論文出版まで漕ぎ着けた人もいます。
修士課程で本研究室を選ぶ場合、修士課程卒業後に就職することが原則です。もちろん、覚悟と努力が必要ですが博士後期課程への進学も可能です。ひとつの目安はM2の夏(博士課程入試があります)までに国際的な査読誌(Astrophysical Journal、Publication of Astronomical Society of Japan等)に論文を1本投稿(もしくは投稿準備中)していることです。
卒業研究にしろ、修士論文の研究にしろ、研究は「キャッチボール」です。私からは随時ボールを投げます。取れないようなボールは投げないつもりですが、あなたからボールが戻ってこない限りは、次のボールを投げることはできません。
特に修士課程以上は自ら研究を進めて修了するという強い意志と努力が必要です。たとえ研究しなくても誰も強制はしませんので自己コントロールが重要です。
【博士後期】 博士課程になると特定のテーマについては研究室でもっとも詳しいというレベルになります。自由に研究をしてもらって構いません。年2回の日本天文学会での発表は基本的に必須だと思ってください。2回発表して1本論文を書く、というのが目標です。つまり、博士論文を書くまでに3本の論文を筆頭著者で書く、ということです。日本学術振興会特別研究員(DC1 あるいは DC2)の採択は運もあるので、採用されなくても落ち込む必要はありません。ただし、採用の必要条件として、DC1申請時(M2の春)に論文1本、DC2は2本以上というのが経験則としてはあります(例外ももちろんある)。
【その他】
国内あるいは外国の大学や研究所の研究者と共同研究をすることも多々あります。特に博士後期課程の学生は鹿児島大学だけではなく、いろいろな研究者と交流することが望まれます。また、国立天文台などの計算機共同利用への申請や各種講習会にも積極的に参加してもらいます。
研究室では、日常的にSlackを用いて連絡や進捗報告をしています。数値シミュレーションを用いた研究する人が多いですが、言語は特に指定はしていません。さまざまなコード(プログラムのこと)を使いますが、多くはすでに完成されたコードなので、一から自分で書く必要はあまりないです。先輩が使っているものであれば、使い方を教えてくれます。可視化(グラフを描いたりすること)にはpythonを使うことが多いです。他には、git, githubも使います(分からない人はぐぐってください)。論文を書くのはLaTeXです(使ったことがなければ勉強しましょう)。Wordで書くのは全く推奨しません。
大学院生ともなれば、基本的に土日はないと思ってください。こう言うと、ブラックだと思う人がいるかもしれませんが(実際、以前そう言われました)、強制するわけではありません。研究成果が出てなければ、土日だろうと研究するのが当たり前です。世界のライバル研究者が待ってくれるわけではないからです。基本的に、
研究成果 = 研究能力の時間積分
です。能力がゼロなら成果もゼロですが、普通はそういうことはないのでどんな人でも地道に費やした研究時間・勉強時間で成果は決まります。これには理由があって、研究活動の多くは単純に時間が取られることがほとんどだからです。論文・教科書を読む、発表資料をまとめる、プログラムのデバッグをする、図を作る、論文を書く・推敲する、、、
研究成果が出れば大いに休みましょう。時間の使い方は自由です。時間を効率的に使い、オンとオフをはっきりさせましょう。研究はときに精神的に辛いものです。息抜きになるような趣味をもつことを推奨します。
例えば、1日24時間のうち、最低12時間は生きるために必要でしょう(睡眠&食事)。洗濯や買い物・通学の時間で、まあ2時間としましょう。そうすると、週に70時間も研究に使えます。まあ、息抜きしないとストレスたまりますから、週50時間くらいが現実的でしょうか。1日7時間くらい。それだけあればめちゃめちゃ研究は進みます。
逆に言うと、なんらかの理由でそれだけの時間をかけられない人は研究に向いていません。ごくまれに、短い時間で大きな成果を出す天才肌の人・超効率的な人もいなくはないですが、そういう人は目指さないようにしましょう。
あと、研究室に入ったら、私のことは「さん」づけで呼んでください。研究の現場では対等なので。ただし、他の研究室の先生は「先生」と呼んだ方が無難でしょう(たまに先生と呼ばないと怒る人もいます...)。